早起きのガンダム好き

ガンダムのことについて考察したり、想いを書きます

クルスト・モーゼス博士とエグザム、そして強化人間からNT-Dへ

 ニュータイプ研究技術者「クルスト・モーゼス博士」

 彼の思想である
ニュータイプはその従来の人間の力を越えた存在であるがゆえに、その他の人間(オールドタイプ)を滅ぼすものだ」

 その考えは原作ゲーム、小説を問わずほぼ間違い無いと思う。


 そして、その彼の杞憂はシャア・アズナズルのアクシズ落としにより見事にヒット、十年先の未来を予見していたとも言える。

 彼クルストの捉えたニュータイプという概念がどういう意味合いを持つものなのかは解らないが、EXAMシステムというモビルスーツ用OSに心血を注いだことから、おそらくは思想面や精神面ではなく単純な「新兵器モビルスーツ戦闘に適応した超人パイロット」という、能力面ミュータント、いわば新しい先鋭石器武器(モビルスーツ)を手にしているクロマニョン人を見たネアンデルタール人

 すなわち、クルスト博士を含めたオールドタイプの危惧がEXAMという劇薬を作り出したのであると思われる(皆川ゆか様が執筆された小説版規準)



 クルスト博士の死後、そのEXAMシステムは人工ニュータイプ「強化人間」という技術に発展した(抹消したという噂があるですと? ここまで一定の成果を上げた、未だにモビルスーツ技術に関しては未熟な連邦が、このジオン系技術までもが入った有効度の高い技術をゴミ箱へ捨てますか?)

 そしてその「強化人間」の技術は間違いなく(人道的な問題が多々見受けられるが)EXAMシステムの完成形の一つである。
ハード面(ブルーディスティニーシリーズ、およびイフリート改)へ依存したそれよりも遥かにコンパクトなサイズ、そして人道さえを無視すれば完成度の高いものであった。

 不可思議な事に、その強化人間は単なるハード面、パイロット能力という枠を越え、本来のニュータイプ概念であるコミュニケーション能力の強化をもなし得た事は実に興味深い。

 というのは、この一年戦争時に確認されたニュータイプ「能力」というものが、ここまでの短時間で機械的、生理学的にオールドタイプへも付与可能ということが証明されたからである。

 しかも、そのニュータイプ思想を心の拠り所の一部としているスペースノイド、宇宙居住者がその強化人間技術を取り入れたということは、第一次、二次ネオ・ジオン紛争をふまえ、本来の意味のニュータイプ思想がその概念を提唱したジオン・ズム・ダイクンが息子であるキャスバル・レム・ダイクン、通称シャア・アズナズルと呼ばれる男によって(実に皮肉な事に!!)ほぼ無視されているという事実、最大の武力行使である、大規模破壊兵器アクシズの地球落下が彼の手によって起こされたということが、実に見事なアンチ・テーゼ的象徴となっている。

 
 原初の意味である
「コミュニケーション能力の強化」
そして、これはその概念を謳ったダイクンの思想にあった事かどうかはややに不透明な点があるが
「それによる、武力衝突の回避」
はその後の宇宙世紀ではますます希薄となっていく。

 EXAMシステムの純粋なバージョン・アップとも取れる「NT-D(ニュータイプ・デストロイ)」を実装されたユニコーンガンダム系の機体群、もしもこれらの機体がEXAMを青写真としたのであれば、ニュータイプの精神パターンを取り入れたOSという「敵を倒すにはその敵と同じ武器を持たなくてはならない」というアイロニーに強く汚染させた初期型の対ニュータイプ兵器EXAM。その皮肉が「ニュータイプ能力強化用素材サイコ・フレーム」をフルに使用されたユニコーン系、それにも、実に脈々と「エグザムの血」が受け継がれている。


 ここで少し、主に連邦軍派がとった対ニュータイプ技術を系列的に分けようと思う。



〔第一世代〕《EXAMシステム》

 基本思想として、クルスト・モーゼス博士のニュータイプへ対する警戒、恐怖心から発展した。

 ハード(モビルスーツ)、ソフト面から極めて不安定な、実験的な品物であり、機体およびパイロットへ多大な負荷をかける。
 原理は不明だが、ニュータイプである少女の精神パターンを取り入れた(模倣?)OSを差すシステムであり、原則としてニュータイプ、ないしそれに類すると思われる「対象(敵性に限らない)」を発見するやいなや、そのターゲットを殲滅する為にパイロットを心神喪失状態へ陥れ、その目的の為の判断力が欠如した生体パーツとさせるシステムである。
 よって、友軍へ対しての同士討ちが発生する可能性は極めて高い。

 少数の連邦軍パイロットと一名のジオン公国軍パイロットがこのシステムを搭載したモビルスーツへ搭乗したが、その際のストレスを完全に耐えられたのはただ一人、そのジオン兵パイロットのみであった。


―システム搭載モビルスーツ

・イフリート改



〔第二世代〕《強化人間》

 一年戦争戦争後に地球連邦軍が発案した対ニュータイプ技術。
 主に戸籍上に明確な記載がされていない戦災孤児、あるいはそれに類する者への人体実験を繰り返して産まれた技術。
 最初期の技術ではその実験対象への精神的、身体的ストレスが極めて高く、その被験体を実戦投入させるにはエグザムと同等かそれ以上のリスクを伴われた。
 非人道的な技術ではあったがその効果は高く、様々な武装勢力へこの技術は拡散し、実に五十年以上もこの技術に関する研究は行われた。
 それに伴い、実験対象へ与えるストレスも軽減されていったようである(あくまで比較問題であり、後期の強化人間でも人権に関する問題は解決されていない)


―システム搭載モビルスーツ

 基本的にパイロット側での調整であり、機体には大きく依存をしないシステムである。
 また、この場合にはシステム対応モビルスーツと分類してしまうと、全てのニュータイプ専用機が当てはまる。

 強いて上げると。




〔第三世代〕《NT-D》

 ニュータイプ・デストロイヤー。基本コンセプトはほとんどエグザムと同じである。
 その上EXAMシステムの危険要因であった、制御不能状態へ陥る可能性も孕んでいる。
 不思議なのはなぜこの時期、強化人間技術も安定性が増してきたのにこのようなEXAMのリバイバルとも言うべきシステムを復活させたかにある。
 この時代、モビルスーツ技術も一年戦争時とは比べ物にならない程に発達し、ニュータイプ能力よりも機体そのもの、あるいは単にパイロットとしての技術そのもので戦いの勝敗が決まる傾向が見受けられた。
 もしかすると、初期エグザムでの問題であった機体への負荷、つまり「EXAMが与える機体構造的な負担の問題は、今現行の新鋭モビルスーツならば解決しているはずだ」と、エグザム構想の見直しが行われたのかもしれないが。

 一般量産機へこの技術が使用された形跡もなく、この技術を発想、そして推進させた人物や団体の思惑も不明な部分が多い。


追記:強化人間の搭乗を前提としたサイコ・ガンダム系機体にEXAMシステムの改良型OSを搭載した新種のモビルスーツ系列、すなわち新鋭型サイコ・ガンダムの為に作られたOSであるという見方がある。確かにそれならば強化人間をパイロットとして限定すれば、強力な対ニュータイプ戦用モビルスーツであるのは疑いようはない。


―システム搭載モビルスーツ



(注・筆者はユニコーンガンダムに関してはナメプでありますので、この記事は不完全な部分が多部にあると思います!!)



〔第四世代〕《バイオ・コンピュータ》

 正確には対ニュータイプ技術ではないが、一応上げておく。
 強化人間系の技術が使用、流用されている可能性は高いが、発案側も完全に機体性能を上げる為に開発した模様。

 ただ、蛇足ではあるがこのバイオ・コンピュータが搭載されたモビルスーツと交戦した巨大モビルアーマーラフレシア」はパイロットに特殊な強化人間能力(ニュータイプ能力の単なる模倣よりも高度な技術)が求められ、推測ではあるが単なるニュータイプ的能力だけでは操縦出来なかった可能性がある(このモビルスーツへ搭乗したパイロットは極めて高度な強化人間手術を受けており、文字通り身体的に人間を越えていた)

――システム搭載モビルスーツ――

ラフレシア(推測)



 その後、結局にはニュータイプという存在はほぼ「エースパイロット」と同意義に扱われ、第二世代対ニュータイプ技術である強化人間も、そのパイロットスキルを強化させる、半サイボーグ技術とされてしまった。
 また、バビロニア紛争時に開発されたモビルスーツへと搭載されたバイオ・コンピュータなどもアンチ・ニュータイプ技術が流用させている可能性は高いが、それは対ニュータイプ用の装置ではなく完全に機体性能向上の為である。



ニュータイプは時代が産み出した変種さ」


 この言葉は、まさしくニュータイプである彼が、その後に本来元来のニュータイプ概念とは全くかけ離れた行為を行う彼が見せた、真のニュータイプ的な洞察の一つであろう。





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原作からかけ離れ、デストロイ崩壊気味ですが、一年戦争後のモルモット隊を描いた物です。
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